レスキューストックヤード「避難所運営の知恵袋改訂版」P.12〜15からの転記

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トイレをきれいにするわけ

 トイレが不衛生だと、ノロウィルスなどの感染症が拡大し、体調を崩す原因になります。トイレの衛生を保ち、安心して使える環境をつくることは、命を守ることに直結します。避難所解説と同時に真っ先に環境整備に取り組みましょう。

 


1.スリッパを置く

トイレと住居スペースで履物を使い分ける。

 ピーク時は、廊下にも避難者が生活する可能性があります。トイレでは必ず履物を替え、汚れを絶対に持ち込まないようにしましょう。


2.汚物処理の方法を決める

水が確保できるか、下水処理機能は失われていないかなどの条件に合わせて、汚物処理のルールを決め、そのルールを徹底してもらえるよう通知しましょう。

 


3.手洗い環境を整える

 

ノロウィルスなどの感染症を予防するために、トイレを使用した後に手洗いを徹底できる環境を整えまょう。


コラム 「直後は50人に1基 長期化したら20人に1基」

参考:内閣府「平成28年度避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン

 内閣府のガイドラインによると、災害発生直後、トイレは避難者約50名に1基、長期化する場合は、20人に1基を目安として確保することとされています(平均ひとり1日5回の排せつを想定)。また、トイレが男女別になっていない、暗くて怖いといった理由で我慢し、脱水や膀胱炎などの体調不良を引き起こした事例もありました。男女のトイレ比は男性1:女性3を原則とし、照明の設備も同時に考えるなど、安心できる環境を整えましょう。


コラム 「備え付けの洋式トイレを工夫する」

渡邊洋子氏 宮城県七ケ浜町・元老人福祉センター職員

 トイレの問題は深刻でした。備え付けの洋式トイレは断水で汚物が溢れ、仮設トイレは屋外で移動が大変な上、全て和式でした。また、鍵の締め方が分からず使用中に扉が開いたり、手すりがないため点灯する事故も発生しました。室内はポータブルトイレを設置しましたが、低すぎて手すりもないため、立つ・座るの動作に支障がでました。そこで屋内のトイレを使用できるよう工夫しました。便器にゴミ袋かかぶせ新聞紙と凝固剤で汚物を処理しました。ただ、高齢者は処理方法を理解するのが難しく、スタッフが介助しました。汚物は可燃ごみとして処分しましたが、回収に時間がかかり、ひどい悪臭やハエの発生に困りました。ふた付きのポリバケツを用意しておくなどの対応が必要だと思いました。